ざっくりわかる「RS-232C」

「RS-232C」のゼロ
実はこれ、ずーっと昔からある通信規格なんだけど、今でも機械の設定やセンサー、測定器など身近なところで大活躍しているんだ。

USBが主流なのに、なんで今も使われるの?
実はそこには、シンプルだけど超頼れる秘密があるんだよ。
今日は、そんな意外と知られていない「RS-232C」の世界をわかりやすく紹介していくよ!
RS-232Cって何?
RS-232Cとは、パソコンや機械同士がケーブルを使って会話するための規格
「通信ルール」のことだよ。
このルールに従って、コネクタ(接続端子)の形やケーブルの配線方法が決められているから、機械が違ってもお互いスムーズにデータを送り合うことができるんだ。
USBにも「決まった形のコネクタ」があるよね。RS-232Cも同じように、「決まったルールで作られた専用のコネクタ」を使って通信しているんだ。
ちなみに「RS」は「Recommended Standard(推奨規格)」の略で、「232」はその規格番号のこと。
つまり、「232番目に決められた通信の決まり」っていう意味なんだよ。

シリアル通信ってどんなイメージ?
RS-232Cは「シリアル通信」という方法でデータを送っているんだ。
シリアル通信って何?と思った人は、「1車線しかない道路」を想像してみて。
データを車だとすると、この道路では車が1台ずつ順番に通るしかないよね。
これが「シリアル通信」。つまり、1つずつ順番にデータを送る通信のやり方だよ。
一方で「並列通信」は、複数の車線がある道路で、同時に複数の車(データ)を送れるイメージ。
シリアル通信は、一度に大量のデータは送れないけど、配線がシンプルで安定しているから、長い距離でも問題なくデータを送りやすいんだ。
RS-232Cは、そんなシンプルで確実な通信を使っているというわけだね。
並列通信との違い
さっき、シリアル通信を「1車線道路」に例えたよね。
これに対して、並列通信は「複数車線の道路」をイメージするとわかりやすいよ。
並列通信では、同時に複数の車(データ)を一気に送るから、短い距離なら高速でたくさんのデータを送れるというメリットがあるんだ。
でも、いいことばかりじゃない。
道路の車線(配線)が増えると、車同士(データ同士)のタイミングがズレたり、ノイズ(電気的な雑音)で信号が乱れやすくなるんだ。そのため、距離が長くなるほど信号が乱れて通信が不安定になるリスクが高くなっちゃう。
一方、シリアル通信はデータを順番に送るので、配線がシンプルでノイズの影響を受けにくい。その結果、並列通信ほど高速じゃないけど、長距離でも安定した通信ができるんだ。
- シリアル通信:スピードは普通だけど長距離でも安定。
- 並列通信:短距離なら高速だけど、距離が長くなると不安定になりやすい。
RS-232Cが今も使われ続けているのは、まさにこの「安定性」を重視する場面がたくさんあるからなんだよ。
RS-232Cはどんなところで使われるの?
RS-232Cはもう古い通信方式…と思いきや、実は今でも工場や研究現場などで大活躍しているんです。
なぜ今も使われ続けているのか?
その理由は、信頼性・安定性・シンプルさにあります。
ここでは、実際に使われている代表的な場面と、その理由を紹介します。
🏭 工場や製造現場の機械
使われる理由 : ノイズに強く、安定性が高いから。
工場では、モーターや高電圧機器が動くため、電気的なノイズが多くなりがち。
RS-232Cは±15Vという高めの信号電圧を使うことで、ノイズの影響を受けにくく、通信が安定します。
また、ケーブルが長くなる場面でも強い味方。USBは5m程度が限界なのに対し、RS-232Cは15m以上でも安定通信が可能。
そのため、離れた場所にある装置を制御室から遠隔操作するような**「遠隔制御」**にもぴったりなんです。
しかも、D-subコネクタはネジ止めでガッチリ固定できるので、振動の多い現場でも外れにくいという安心感もあります。
🧪 測定・計測機器
使われる理由 : 正確なデータを安定して送れるから。
研究室や製造現場では、温度・圧力・重量などのセンサーのデータをパソコンに送信するのにRS-232Cが使われています。
並列通信に比べてタイミングのズレやノイズに強く、波形が安定して認識されやすいのが特徴。
だからこそ、正確さが命の計測器でも信頼されているんですね。
🌐 ネットワーク機器やFA機器の初期設定
使われる理由 : OSやドライバに依存しない
たとえばルーターやFA機器(産業用の装置)の初期設定って、
「とにかく通信さえできればいい」って状況が多いんだ。
でもLAN接続だと、IPアドレスの設定が必要だし、USBだとドライバが必要なこともある。
実際、「つなげたのにパソコンが認識してくれない…」って詰まった経験、ある人も多いんじゃないかな?
(私もWEB会議用のイヤホンでドライバ地獄を体験しました…)
その点、RS-232Cはドライバ不要、IP不要、いきなり通信できるという強みがある。
しかも変換アダプタは安価で、FA機器の多くには今でもRS-232Cポートが標準装備。
つまり、「できるだけ早く・確実に・最小限の手間で設定したい」場面では、
最終的に一番頼れるのがRS-232Cだったりするんです。
USBじゃダメなの?

USBがあるのに、なんでわざわざRS-232Cを使うの?
そう思う人も多いと思います。でも、実はUSBには現場で使うには不向きなポイントがいくつかあるんです。
ここでは、RS-232Cが今も選ばれる理由を、USBとの比較でわかりやすく解説します。
📏 USBは「ケーブルの長さ」に限界がある
USBは規格上、ケーブルの長さは最大5mまでとされています。
それ以上長くするには、信号を中継する“USBハブ”や“リピーター”を間に入れる必要があります。
なぜかというと、USBは高速通信を行う分、信号の遅れ(伝送遅延)や劣化に非常に敏感だからです。
ホスト(パソコンなど)が通信全体を管理しているため、
返ってくる信号が少しでも遅れると、「エラー」として扱われてしまうんです。
工場のような広い現場で、離れた機器と直接通信したい場合には不向き
一方、RS-232Cは規格上15m程度まで延長可能で、条件が良ければさらに長く使えることもあります。
ケーブル一本で完結するから、配線もシンプルでトラブルが少ないんです。
⚡ USBはノイズに弱い
USBは信号の電圧が低く(±0.4V程度)、ノイズ耐性があまり高くありません。
電磁ノイズの多い環境では、信号が乱れて通信エラーが発生しやすくなることがあります。
工場では、大型のモーターやインバーターなど、
ノイズ源がたくさんあるため、USBは不安定になりがち
対してRS-232Cは、±15V近い高電圧で通信するため、
ノイズの影響を受けにくく、信号がしっかり届きやすいというメリットがあります。
🧩 USBは「OSやドライバ」に依存する
USB機器を使うには、ドライバのインストールやOS側の認識が必要です。
もしドライバが対応していなかったり、ネット環境がないと、接続しても何もできないこともあります。
現場では「今すぐつなげて動かしたい」という場面が多いので、これは大きな障害になります。
RS-232Cはドライバ不要で、接続してすぐ通信ができるという点で、
現場の初期設定や緊急対応でも安心して使える通信方式なんです。
「RS-232C」の豆知識
- 名前の由来とかある?
-
「RS」はRecommended Standard(推奨規格)の略で、
「232」はこの規格が232番目に制定されたという意味なんです。
ちなみに“C”はバージョン。最初はRS-232 → RS-232A → B → C と改訂されてきた名残です。
意外と地味に進化してたんですね。
- いつ頃できたの?
-
RS-232の登場はなんと1960年!
半世紀以上も使われ続けてるなんて、もうレジェンド級の通信規格です。
でもそのシンプルさ・堅牢さゆえに、いまだに一部の医療機器や金融機器などでも現役。
「古いけど壊れない」「動くから替えない」ってことで使い続けられてる機器、実はけっこう多いんです。
- なんで9ピンもあるの?
-
RS-232Cで最低限データを送るだけなら、実は3本の線(送信、受信、GND)だけでも通信はできるんです。
じゃあ、残りの6ピンは何のためにあるの?って思うよね。
その答えは、「通信をもっと安定・確実に行うための補助信号」です。
たとえば:
- 相手がつながってるか?(DCD)
- お互い通信の準備はできてる?(DTR、DSR)
- 今送っていい?送っても大丈夫?(RTS、CTS)
- 着信があったよ!(RI)
…といったやりとりを機械同士が自動で判断できるように、
これらのピンが用意されているんです。
それぞれ以下のような役割を持っています。
ピン 信号名 役割 1 DCD 相手がつながってるか確認する(接続チェック) 2 RXD データを受け取る 3 TXD データを送信する 4 DTR 自分が通信の準備OKであることを伝える 5 GND 電気の基準(グラウンド) 6 DSR 相手が通信の準備OKであることを伝える 7 RTS データを送っていいか相手に確認する 8 CTS 相手から「送っていいよ」と返事をもらう 9 RI 相手からの着信(呼び出し)があったことを伝える
「RS-232Cってなんか古そうで難しそう…」と思っていた人に、少しでも親しみを持ってもらえたら嬉しいです。
他の技術用語についても、今後わかりやすく解説していくので、気になる方はぜひ他の記事もチェックしてみてください!