ざっくりわかる「CPU」と「GPU」

「CPUとGPUの違いって、どう説明すればいいんだろう?」
最近は「AIにGPUが使われている」という話をよく聞くようになりました。
実際、「AI搭載PC」や「グラフィック処理に強いGPU搭載機」なんて言葉も、目にする機会が増えています。
でも、いざ自分で説明しようとすると…
「GPUは画像処理が得意で…」
「AIの計算にも使われてて…」
……で、結局CPUと何が違うの?
と、意外とうまく言葉にできないことが多いんじゃないでしょうか。
この記事では、そんなCPUとGPUの違いを
仕組み・特徴・向いている処理という3つの視点から、
ざっくり整理していきます。
CPUとGPUは、そもそも得意な処理が違う
まず整理しておきたいのは、
**CPUとGPUは「どちらが高性能か」ではなく「役割が違う」**ということ。
🧠 CPU(Central Processing Unit)
- パソコンの中枢にあたる処理装置
- 主にOSの制御やアプリの動作など、あらゆる命令を順番に処理する役割を持っている
- 条件分岐のあるような複雑な処理を、少ない数のコアで柔軟に対応できるのが特徴
📌 つまり、汎用性の高さと判断力が求められる処理が得意
🖼️ GPU(Graphics Processing Unit)
- もともとは映像処理に特化した計算装置
- 今では、同じ処理を大量に同時にこなす並列処理が強みとされ、
AIの計算処理や画像・動画編集などにも使われている - 数百〜数千のコアを持ち、同じ命令を一気に処理する能力に優れている
📌 つまり、単純な処理をまとめて高速にこなす用途が得意
この「順番にいろんな処理をこなすCPU」と
「同じ処理を同時に一気にこなすGPU」という構造の違いが、
得意分野の違いにつながっています。
どんな用途にどっちが向いてる?
CPUとGPUはそれぞれ構造が異なるぶん、
「何に使うと真価を発揮するか」もまったく違います。
以下の表で、向いている用途とその理由を整理してみましょう。
やりたいこと | 向いているのは | 理由 |
---|---|---|
Word・Excel・Webなど日常作業 | CPU | 命令の種類が多く、処理の順番や判断が必要 |
プログラムの制御やOS | CPU | 多様な条件分岐やデータのやりとりの柔軟な処理が必要 |
ゲーム・動画編集 | GPU | 複雑な画像を大量に一度に処理する必要がある (映像は大量のピクセル単位の並列処理) |
生成AI・画像認識など | GPU | AIのモデル計算は行列演算などの単純な計算を大量に同時に行う処理が中心 |
✅ ざっくりまとめると…
- CPUは「順番にいろんなことをやる処理」に強い
- GPUは「同じことを一気にたくさんやる処理」に強い
この違いを知っておくと、
「どういう作業にどんなパーツが関わっているか」が見えるようになって、
パソコンのスペックを読むのもグッと分かりやすくなります。
AI搭載PCってGPUのこと?
最近よく見かける「AI搭載PC」や「AI処理に強いノートパソコン」。
この“AI”という言葉が出てくると、GPUとの関係が気になるところですよね。
🎯 実は、AI処理とGPUは非常に相性がいい
AI処理、特に画像認識や生成AI(ChatGPTや画像生成など)で使われる「ディープラーニング」は、
行列計算を何十万回と繰り返すような非常に重い処理です。
- 単純な計算を大量に、同時にこなす必要がある
- この“並列処理”に圧倒的に強いのがGPU
📌 つまり、「AIに強いPC=高性能なGPUを積んでいる」ことが多いのです。
💡 最近のトレンド:「NPU」というチップも登場
AIに特化した新しいプロセッサとして、**NPU(Neural Processing Unit)**を搭載するPCも出てきました。
- GPUほど万能ではないけれど、AI処理に特化した省電力な仕組み
- ノイズ除去や音声認識など、PC内で軽く済ませたいAI処理に使われることが多い
🧠 じゃあGPUとNPUはどう違う?
項目 | GPU | NPU |
---|---|---|
処理範囲 | グラフィックやAI計算など広い | AI処理に特化(画像認識、音声処理など) |
性能 | 高い(電力も多く使う) | 軽量・省電力(用途は限定的) |
主な用途 | ゲーム、AI開発、映像編集など | ノートPCやスマホのAI機能 |
結論として、「AI搭載PC」という言葉が出てきたときは、
GPUやNPUなど“AI処理のための専用パーツ”が入っているという理解でOKです!
NVIDIAの実験がめちゃくちゃわかりやすい!
CPUとGPUの違いを感覚的に理解したい人には、
NVIDIAが2008年に公開したペイントボールの実験がとても参考になります。
🎨 実験内容:ペイントボールでモナリザを描く!
- CPUのやり方:
1本のペイントボール銃で、1発ずつ順番に打ってモナリザを描く。
→ 時間がかかるけど、1つずつ確実にこなす処理。 - GPUのやり方:
2100本のペイントボール銃を同時に発射して、一瞬でモナリザを完成させる。
→ 同じ処理を大量に同時実行する並列処理の強さを視覚化。
📺 実際の動画はこちら:
NVIDIA: Adam & Jamie draw a MONA LISA in 80 milliseconds!
この映像を見ると、
**「CPUとGPUでは処理の仕方がまったく違う」**ということが
パッと直感で理解できます。
気になった人はぜひチェックしてみてください!
まとめ:CPUとGPUは“得意分野が違う”
CPUとGPUはどちらもコンピュータの処理を担う大切なパーツですが、
その構造と得意な処理はまったく違います。
✅ 要点をおさらいすると:
項目 | CPU | GPU |
---|---|---|
処理スタイル | 命令を順番に処理する(汎用的) | 同じ処理を大量に同時実行(並列処理) |
得意なこと | OSやアプリの操作、プログラムの制御 | ゲーム、映像処理、AI計算などの大量演算 |
コアの数と役割 | 少数のコアで柔軟に対応 | 多数のコアで一気に処理 |
AIとの関係 | 基本制御を担当するが、AI処理は不得意 | 行列計算などAIに向いた構造を持ち、活躍の場が多い |
今は「AI搭載PC」や「高速グラフィック処理」などでGPUの名前をよく見かけますが、
その背景には、GPUが持つ並列処理の構造的な強さがあります。
パソコン選びや技術のニュースを見るときに、
「これはCPUの仕事?GPUが関わってる?」と少しだけ意識してみると、
日常の理解がグッと深まるかもしれません。