ざっくりわかる「建設仮勘定」

「建設仮勘定」って、名前からしてよく分からない…
決算や経理の話の中で、ふと出てくる「建設仮勘定」という言葉。
でも実際に現場で働いていると、
「それって経理の人が使う言葉でしょ?」
「建設ってことは工事の話?」
「仮ってなにが仮なの?」
とモヤっとすること、ありませんか?
実はこれ、会社で**設備やシステムなどを作っているときに使われる「ちょっと特殊なお金の置き場所」**です。
- 新しい装置を導入中だったり
- 工場のラインを増設していたり
- システム開発が進行中だったり
こういう「まだ完成していないもの」に使ったお金を、いったんまとめておくための仮の箱——
それが「建設仮勘定」です。
今回はこの建設仮勘定がどんな目的で使われていて、なぜ必要なのかを、ざっくり解説していきます!
建設仮勘定とは「まだ完成してない資産のお金をためておく場所」
会社が設備や建物を作るときには、いろんな費用がかかります。
設計費・部品代・工事費・人件費など…完成するまでにお金だけはどんどん出ていきますよね。
でも、まだ完成していないものは、「建物」や「機械装置」として固定資産にできない。
そこで使うのが「建設仮勘定」。
完成するまでの“仕掛かり中のお金”を一時的に入れておく箱です。
✅ ポイントまとめ
- 建設中の設備や装置にかかった費用をまとめておく
- 完成したら、「建物」「機械装置」などの本来の資産に振り替える
- 振り替えるまでは減価償却されないし、費用にもならない
- でも帳簿上は**“資産”として扱われる**
決算ではどう扱われるの?
「建設仮勘定」は、まだ完成していない資産にかかったお金を入れておく“仮の箱”。
でも決算のときには、この仮の状態でもちゃんと帳簿に載せる必要があります。
💼 決算書ではこう表示される!
- **貸借対照表(B/S)**の「資産の部」に
→ “建設仮勘定”という名前で、そのまま載ります。
つまり、まだ完成していないとはいえ、会社の大事な資産の一部としてカウントされるんです。
🔧 減価償却はどうなる?
ここがポイント。
- 建設仮勘定のままでは、減価償却は始まりません。
→ 完成して、正式に「建物」「装置」などに振り替えてからスタートします。
🧠 つまり
- 建設仮勘定は資産扱いにはなるけど、まだ稼働していない“準資産”
- 「完成したらすぐ振り替える」ことで初めて、
→ 減価償却や固定資産税など他の処理が動き出す
ずっと建設仮勘定のままだとお得…にはならない!
「建設仮勘定って、減価償却もされないし、固定資産税もかからないんでしょ?
だったら、ずっと仮勘定のままにしておいた方が得なんじゃ…?」
そんなふうに思う人もいるかもしれません。
🔍 実は逆です。ずっと仮勘定のままはNG!
❌ 会計ルール違反になる
- 建物や設備が完成・稼働したのに仮勘定のままだと、
→ ルール違反(会計基準に反する) - 放置し続けると、粉飾決算とみなされるリスクも…
❌ 減価償却が始まらず、税金上は損をすることも
- 固定資産にすれば**減価償却して費用化(損金)**できる
- 仮勘定のままだと、経費として落とせない=税金が高くつく
❌ 税務調査でツッコまれる可能性あり
- 「稼働してるのに、なぜ仮勘定のまま?」
- → **わざと税金逃れしてるのでは?**と疑われるリスク
✅ 結論:仮は仮。完成したらすぐ振り替えるのが正しい使い方!
建設仮勘定はあくまで一時的な待機場所。
完成したら、速やかに固定資産へ切り替えて、正しく帳簿に反映させる必要があります。
まとめ:建設仮勘定は「まだ働いていない資産」の待機場所
ここまで見てきたように、「建設仮勘定」はちょっと特殊な勘定科目です。
✅ ポイントをおさらいすると:
内容 | ポイント |
---|---|
何のための科目? | まだ完成していない建物や設備にかかった費用をまとめておくため |
決算書ではどう扱われる? | 資産の部に“建設仮勘定”として表示される |
減価償却は? | 完成して資産に振り替えた後にスタート |
放置するとどうなる? | 会計上NG/税金計算で損することも/調査リスクもある |
建設仮勘定は、完成した資産に“なる前の段階”を管理するための仮の箱。
ちゃんと「完成したら振り替える」を守ることが、
正しい会計と、後から困らないためのポイントです。
「なんとなく経理だけの話」と思われがちなこの科目も、
中身がわかれば、自分の仕事やプロジェクトにも関わっていることに気づけるはずです。